13年目のやさしい願い


「え? 叶太?」



ホームルームが終わって、いち早く教室をから出て来たヤツが驚いた顔でオレを見た。



「なに、おまえ、休みじゃなかったの?」



後ろから、「おい、止まるなよ」と声をかけてくるヤツも、オレを見て、目を丸くする。

次の瞬間、そいつが、ニヤニヤ笑って、教室を振り返って声を上げた。



「ハルちゃん、お迎え!!」

「え? わたし?」



戸惑ったような、ハルの声が聞こえた。



「あー。コッソリ来たのに」



ハルを呼んだヤツに言うと、ニヤニヤ笑われた。



「教室に来た時点で、そりゃムリだろ。

……ってか、もう大丈夫なの? 入院してたって聞いたけど」

「大丈夫、大丈夫」



答えながら中に入り、ハルの方を見ると目が合った。
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