13年目のやさしい願い


ハルの顔を見ると、思わず、頬が緩む。



「ハル!」



足早にハルの席に向かう。

ハルが不思議そうにオレを見た。



「迎えって、カナ? ……なんで?」



……って言うか、ハル、オレ以外の誰を想像したの?



「なんでって、ハルを迎えに来ちゃダメ?」

「……わざわざ? 学校、お休みしたのに?」



だけど、オレの気持ちをよそにハルは無邪気に言った。



「家で待ってればいいのに」



オレはハルの顔を見られて、こんなに嬉しいのに。



「……しょうがないじゃん。少しでも早く、会いたかったんだから」

「……ん」



オレがハルの鞄に手を伸ばすと、ハルの表情がまた曇った。

< 185 / 423 >

この作品をシェア

pagetop