13年目のやさしい願い
ああ、これか。
と、オレはハルの頭に、そっと手を置いた。
「ハルの迎えの車に乗ってきた。だから、帰りも一緒」
「そっか」
ハルは、少しだけホッとしたように笑った。
ハルは多分、オレが教室から裏口までハルの荷物を運ぶためだけに、わざわざ学校に来たんじゃないかと心配してたんだ。
だから、少なくとも廊下だけじゃなく、車でも一緒だと聞いてホッとしたと思う。
だけど、仮にそうだとしても、自分にべた惚れの彼氏なんだから、ふんぞり返って「ご苦労」くらい言ってもいいと思うんだけど……。
あり得ないな。
……そんなハル、想像もつかない。
オレが含み笑いをすると、ハルは不思議そうに、
「どうしたの?」
と言った。