13年目のやさしい願い


オレを見上げる黒目がちな大きな目。

長いまつげ。

抜けるように白い肌。

赤い唇。

ふわふわ柔らかい髪の毛。



「カナ?」



ダメだ、可愛すぎる。

我慢できない。



思わず抱きしめると、教室中に、冷やかしのヤジが飛び交った。



腕の中のハルが、オレの腕から逃れようともがきながら、



「……恥ずかしいから、こういうのやめてって、言ってるのに」



と、困ったように、つぶやいた。

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