13年目のやさしい願い
「まあ、叶太。ここは諦めて、運を天に任せてはどうだ?」
「任せたらどうなるの?」
オレは憮然として、聞き返した。
「そりゃ、別々のクラスだろうな」
「なんでだよ! 運を天に任せるって言っておいて、なんで別クラス決定なんだよっ!?」
「学園長から打診が来ていてね。今年はどうしますか、と」
「で?」
「陽菜ちゃんに頼まれたとおり、あえて同じクラスにする必要はないと答えたよ」
……………っ!!
ギリギリとオレは奥歯をかみしめた。
「そう怖い顔でにらむなよ」
「親父がそんなことを言ったら、」
「そうだろうな。同じクラスにして欲しくないんだと思うだろうな」
「勘弁してくれよっ!!」
親父は肩をすくめた。
「ま、事前に教えてやったんだ、パパに感謝しろよ」
この期に及んで、何がパパだ。
「感謝できるかっ! くそっ!」
舌打ちすると、親父は苦笑した。
「叶太。言葉遣いには気をつけなさい」
そうして、親父は頭から火を噴きそうなくらいに怒っているオレの肩を、ポンと叩いて、
「検討を祈る」
なんて言葉を言い残して、笑いながらリビングを後にした。