13年目のやさしい願い
手をつないで歩き、車の後部座席に並んで座る。
学校帰り、同じ車で下校するのなんて、
12年と1ヶ月、同じ学校に通って始めてだった。
「不思議だな」
「うん。変な感じだね」
付き合いの長さ故か、そんな単語で十分に気持ちは通じる。
並んで車の後部座席に乗ることは、もちろんある。
でも、いつもは私服。
今日は、2人とも制服。
それが、妙にこそばゆい。
「大丈夫だった?」
ハルがオレの目を見てそう聞きながら、つないだ手にキュッと力を入れた。
「ん? 病院? 大丈夫。じゃなきゃ、退院できないよ?」
「そうだよね」
安心したように笑うハル。
「あ。2~3週間後に再診だって」
オレが付け加えると、ハルの顔が強ばった。
「え?」
「もう一回、CT撮って、出血とかないか確認するんだって」