13年目のやさしい願い


「出血……って、脳のだよね?」



表情が一気に曇り、目が潤み始めた。



「ハル!?

大丈夫だって! 念のための検査なんだから! 後から、出血が見つかるケースがあって……って!」



もう、すっかり安定したと思っていたハルの気持ちは、まだ、ぜんぜん安定していないみたいで、

オレを見つめる大きな目からは、ポロポロと大粒の涙が溢れ出した。



「どうした? なんか土曜日から、ハル、ものすごく泣き虫だぞ?」

「……だ、だってっ」

「ハル、オレの顔、見て? 元気そうだろ? 普通に笑ってるだろ?

頭痛がなきゃ、明日から学校も行っていいって」

「頭痛?」

「頭が痛かったり気持ち悪かったりしたら、ぜったい休めって言われた」

「痛くない?」

「ああ。……たんこぶは、まだ痛いけどね」



オレが後頭部を指さしながら笑うと、ハルはまだ不安そうな表情を浮かべながらも、ようやく涙を止めてくれた。

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