13年目のやさしい願い
「叶太」
夜中、ベッドに寝っ転がって雑誌を読んでいるとドアがノックされて、開いた隙間から兄貴が顔を出した。
「ん? なに?」
「いや。……今日、例のおまえが助けたって女の子とその親、来たんだって?」
「……ああ。らしいね?」
オレも帰宅後、お袋から、手土産にもらったというお菓子の詰め合わせとやらを見せられた。
「あれ? おまえ、家にいなかったの?」
「ん。ハルんとこにいた」
「え? 夕飯時に来たんだろ?」
「オレ、ハルんちで、ハルと食べてきたから」
「……退院の日くらい、家で食えよ」
「それを言うなら、兄貴だって、かわいい弟の退院の日くらい家にいろよ」
兄貴も今日は、用事とやらで夕飯は外食。
オレの言葉に兄貴は頭をかいた。