13年目のやさしい願い


「ハルちゃん、そんなにショック受けてるの?」



兄貴の言葉に、オレは珍しく、慎重に言葉を選ぶ。



「……情緒不安定って、言うのかな」

「情緒不安定って、……どんな風に?」

「すぐ、泣く」

「ハルちゃんが?」



兄貴のみならず、お袋や親父にとっても、たぶん、ハルのイメージは『笑顔』だろう。

ハルは体調が悪い時すら、努めて、笑顔を見せようとする。



たぶん、ハルとオレの家族から見たら、

どんな時も笑顔を絶やさない、いつもニコニコ笑ってる優しい子、

ハルはそんなイメージだ。



兄貴は、まじまじとオレの顔を見た。



「それが本当なら……そりゃ、重傷だな」

「だろ?」

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