13年目のやさしい願い
「大丈夫なの?」
「……たぶん」
「たぶんって、何だよ」
「いや、なんかオレ、泊まってこようかと思ったくらいだったんだけどね、」
「そりゃ、ダメでしょ。いくら何でも」
兄貴の苦笑いに、オレも苦笑いで応じた。
「分かってるよ。だから、帰ってきたじゃん。おばさんが戻るの待ってさ」
「あ、そういうこと」
誰にも何も言わないハル。
ハルがあんまり、いつも笑ってるから、
おばさんもおじさんも、ハルが寂しい思いをしてるなんて、思ってもいないんじゃないかな?
オレにできるのは、側にいるくらいだけど、
それだけでも、誰もいないより、ずっといいだろ?
いつだってハルの側にいて、
ハルがオレを求める時には、抱きしめてやりたい。
何より、今回は、そんな不安定な精神状態にさせたのがオレなんだから……。
って思うと、もう正直、いても立ってもいられないくらいで……。