13年目のやさしい願い


「ってか、兄貴、何か用だったんじゃないの?」

「ん? ああ! そうそう。例のおまえが助けたっていう女の子の話」



兄貴が、ぽんと手を打った。



「何かあった?」

「お袋が、やけに積極的なお嬢さんね……なんて言うから、」

「は?」

「おまえの学校とか、年とか……は、まあともかく、趣味とか、部活は何かとか、あれこれ聞きまくってたらしいぜ?」

「……なんだそりゃ」



オレが眉をひそめると、兄貴は真顔で言った。



「一番聞きたかったのは、彼女がいるかどうか、だろうね」

「はあ?」



いるに決まってるだろ?

日曜日、見舞いに来てくれた時だって、ハルは片時も離れず、オレの隣にいたんだから。



……ハル、爆睡してたけど。

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