13年目のやさしい願い


「はっきりは聞かなかったらしいけどな」

「何なの、一体」

「そりゃ、おまえに惚れたんだろ?」

「……は?」

「命の恩人だし?」

「大げさな」

「いや、状況聞いてたら、本気で命の恩人だろ? おまえがいなかったら、その子のとこに直撃だったみたいじゃん?」

「まあ、そうかもね。でも、命に別状があるかなんて分からないじゃん」

「そりゃそうだけどさ。

あやうく事故に遭いかけて、身を挺して助けてくれたのは年の近い男の子で、しかも、けっこうカッコよくて、

病院に見舞いに行ったら特別室で、

家にお詫びに行ったら豪邸で……」



と、兄貴が皮肉な笑いを浮かべた。

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