13年目のやさしい願い
「……って、超打算的じゃん」
うんざりして、思わずため息。
「おまえのこと、王子様みたいに見えるんじゃない?」
「オレが、そんなキャラかよ」
「まあ、お袋も、どうかと思ったみたいで、息子には許嫁がいますからとか、言ってやったってよ」
えっ!? 許嫁!? マジッ!?
許嫁っていったら、ハルしかいないよな!?
お袋っ! ありがとう!!
にまにま笑ってると、兄貴が笑った。
「おいおい。ただの口実だろ?」
兄貴の呆れ顔に、浮かれた気持ちが急激にしぼんだ。
「……まあ、そうだよな」
つまんないこと、突っ込むなよ、兄貴。
いいんだよ。
オレがハルしか見てないこと、どうせ、みんな知ってんだからさ。