13年目のやさしい願い
疲れた。
……なんか、すごく疲れちゃったな。
求めていないのに寄せられる好意が、こんなにも重いなんて知らなかった。
他の男の子のことなんて、考えられない。
考える元気もない。
……カナのことだけを考えていたい。
……カナだけを見ていたい。
毎日の生活だけで、もういっぱいいっぱいなのに、相手が好意だけに、これ以上、どう押し返して良いのかが分からなかった。
「……ら。……牧村」
「ハルちゃん」
後ろの席の子に、背中をツンツンとつつかれて、ハッとして、慌てて伏せた顔を上げる。
「なあに?」
振り向くと、
「違う違う! 前、前! 当てられてるよ」
と、小声で教えられた。