13年目のやさしい願い
先生、ありがとう。
そんなことを思いながら、ゆっくりゆっくり、階段を上がった。
2年生は二階。
三階だった、1年生の時よりも、ずっと楽だ。
しかも、階段に一番近いクラスだった。
階段も、長い距離を歩くのも苦手なわたしは、それがまた嬉しくて、きっと今年は良い年だと、ほっこりした。
たくさん悩んだ分だけ、幸せを感じられた。
教室に入ると、しーちゃんが駆け寄ってきた。
「陽菜! おはよう! また同じクラスだね~!」
カナの存在など気にもせず、しーちゃんはわたしに抱きついてきた。
「おはよう、しーちゃん」
カナは、
「よかったな、同じクラスで」
とにっこり笑うと、わたしの背中をトントンと優しく叩いて、そのまま斉藤くんの方へと向かった。