13年目のやさしい願い
出て行って!
そう言いたいのに、ここは保健室で、本当は誰が来てもいい場所だから、言えなかった。
心の中をぐるぐると、どす黒くて嫌な感情が飛び交う。
その感情は、彼女がわたしにぶつけてくる言葉と同じように、わたしを蝕む。
わたしの精神を蝕んでいく。
誰とも、争いたくなんてないのに。
誰とも、ケンカなんてしたくないのに。
ただ、静かに暮らせるだけで十分なのに。
わたしは、ただ、カナと一緒に笑って過ごしたいだけなのに。
カナとの時間を大切にしたいだけなのに……。
こんな黒い感情はいらない。
誰かを恨んだりなんてしたくない。
誰かを嫌ったりなんてしたくない。
ただ、この場から逃げ出したいだけだった。
なのに、目の前の彼女は、意地の悪い笑みを浮かべて、ほら、何も言えないでしょうとばかりに、わたしをにらみつけてきた。