13年目のやさしい願い
「叶太くんと別れてちょうだい」
起き抜けの頭に飛び込んできた冷たい声が、再び脳裏に蘇ってきた。
彼女の要求を受け入れるなんて、考えられない。
彼女の言葉は、けっして受け入れられるようなものじゃない。
続く言葉も、次々に脳裏に浮かんでは消えていった。
「聞くとあなたって、完全に叶太くんの重荷じゃない」
「あなたみたいな子が、なんで叶太くんの彼女なのか、分からない」
「いくら幼なじみだからって、甘えすぎじゃないの?」
「一方的に、頼るだけの関係って、カレカノの関係じゃないよね?」
「あなたって、大切にしてもらうばっかりじゃない」
「あなたとつき合ったって、叶太くんに良いことなんて、何一つないでしょ?」
わたしの胸をえぐるような言葉。
……でも、
ぜんぶ……ぜんぶ、この子がそう思っているってだけだ。