13年目のやさしい願い




そんなやり取りをしてから、10分くらい経った頃、スマホの画面が突如、光った。



『着信 ハル』



その瞬間、オレの頭から、今が授業中だってことは、すっ飛んだ。



「ハル!?」



気がつくと、速攻で通話ボタンを押して、大声でハルを呼んでいた。

何事もなくて、遠慮しいのハルが電話なんてかけてくるはずがない。

少しくらいの不調なら、ぜったいに我慢する。

少しじゃなくても、きっと我慢する。

休み時間になったら、オレが顔を見に行くのは分かっているんだから。



オレの声で、先生の話はストップ。

オレはクラス中の注目の的となっていた。



ハルの返事はなかった。

何の音も聞こえなかった。

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