13年目のやさしい願い


なんで私は、いつも、こうなんだろう。



ああ、でも、最後までは聞いてあげられなかったけど、言わなきゃいけないことは言えたんだ。

そう思うと、少しだけホッとした。



「斎藤、先生呼んできて」

「了解!」

「志穂、救急車!」

「分かった!」



いいよ。大丈夫だから。

……と思うのは気持ちだけで、実際には、ぜんぜん大丈夫じゃなかった。



気持ち悪い。

……吐く。

目尻から涙がこぼれ落ちた。



「ハル、我慢しないでいいから、吐いて」



支えられ、背中をさすってもらいながら、絞り出すように、胃の中身をぜんぶ戻した。



苦しくて、ただ苦しくて、

ごめんね、いつもこんなことばっかりで、ごめんね、

そう思いながら、わたしの意識はゆっくりと暗転した。

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