13年目のやさしい願い
夢を見た。
ずっとずっと、忘れていた。
忘れたふりをして、
心の奥にしまい込んでいた、悲しい記憶。
思い出したくない。
忘れていたかったのに……。
そう思いながら、わたしは、また子どもになって、瑞希ちゃんの病室にいた。
「瑞希ちゃん、大丈夫?」
「……ん。ちょっと、なんか……動悸が、」
珍しく、2人同じ時期に入院していた。
食事の後、おしゃべりしている時、顔色が急激に悪くなり、瑞希ちゃんはそのまま丸くなり、苦しそうに胸を押さえた。
「瑞希ちゃん!!」
わたしは、慌ててナースコールを押した。
すぐに、慌ただしく看護師さんが入ってきて、やがて、先生たちも駆け込んできた。