13年目のやさしい願い


「外に出ていなさい」



そう言われて、後ろ髪を引かれながらも、病室の外に出た。

自分にできることなど何もないと分かっていても、その場を離れられなかった。

どうすれば良いか分からなくて、ドアの外、廊下で呆然と立ち尽くした9歳のわたし。

遠くでガラガラと音がしたと思ったら、病室に、見慣れた機械がいくつも運び込まれて行った。

心電図モニターや酸素はまだしも、電気ショックの機械が運び込まれるというのが、どういうことか、小学生のわたしにも十分理解できた。



……瑞希ちゃん!



両手を組み合わせて、祈るくらいしか、わたしにできることはなかった。

どれほどの時間、そこで立ち尽くしただろう?

しばらく後、険しい表情で病室を出て来た看護師さんが、わたしの元にやってきた。

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