13年目のやさしい願い
声を出したら、泣いてしまいそうな気がして、何も言わずにいると、裕也くんは、
「陽菜ちゃん? 寝ちゃった?」
そう言いながら、そっと脇の下に熱冷ましのための氷のパックを挟んでくれた。
気持ちいい。
思わず、また吐息が出る。
「陽菜ちゃん? 大丈夫?」
裕也くんが気遣わしそうに、わたしの頬に手を当てた。
「……忘れられた?」
思わず、本当に、思わず、ポロリとこぼれ落ちた言葉。
しまったと思ったけど、取り消す元気もなかった。