13年目のやさしい願い
何を言っているのか通じなければいいのに、そう思ったのに、裕也くんはすぐに答えをくれた。
「忘れられるわけないでしょ」
寂しそうだけど、淡々とした声に、少しだけホッとした。
「……そうだよね」
わたしだって、忘れられないんだ。
ましてや、裕也くんが忘れられるはずがない。
分かっていたのに、答えなんて分かり切っていたのに、だけど、思わず聞いてしまった。
重なるんだ。
……カナ。
カナもわたしが死んだら、きっと泣くんだろうな。
わたしが何も言えずにいると、裕也くんが穏やかに続けた。
「だけどね、陽菜ちゃん。
いつか、もし、心から愛せる人ができたら、ちゃんと好きになるよ」
裕也くんが優しく、ひたすらに優しく、ゆっくりとわたしの頭をなでた。
「まあ、瑞希以上に想える人が、そう簡単に現れるはずないのは、仕方ないよね?」
「……裕也くん」
「心配してくれて、ありがとう。ボクは大丈夫だよ」
「……うん」