13年目のやさしい願い
……瑞希ちゃんは、何を願ったんだろう?
「忘れて欲しい」ではなく、「忘れていいよ」だったから、
忘れることに罪悪感を持つことはないよ、
きっと、そう言いたかったのだと思う。
裕也くんは瑞希ちゃんを忘れてはいない。
だけど、ちゃんと気持ちは未来を向いている。
寂しいなんて思わなかった。
裕也くんの言葉に、ただホッとした。
わたしがいなくなった後のカナが、嘆き悲しむ姿なんて想像もしたくなかった。
少しは仕方ない。
少しの間は、きっと悲しんだって仕方ない。
だけど、いつかはちゃんと思い出にして欲しい。
裕也くんの中で、瑞希ちゃんの存在はまだ大きい。
でも、いつでも思い出になる準備はできている。
ホッとしたら気が抜けたのか、急に強い眠気に襲われた。