13年目のやさしい願い
16.他力本願
「なるほど、そりゃ災難だったな」
一通り、俺の報告を聞き終えた親父は面白そうに、そう言った。
「オレじゃなくて、ハルがね」
「ああ。陽菜ちゃんには本当に申し訳ないことをしたな。……うちのバカ息子のせいで」
「……悪いの、オレかよ」
ハルには何の落ち度もない。
だけど、じゃあ、オレが悪かったのかって言ったら、それも違うだろ?
オレはただ親切心から、人助けをしただけだったのに。
親父も当然承知していて、オレの苦虫を噛み潰したような顔を見て、面白そうに笑った。
笑いごとじゃないだろって言おうかと思っていると、親父はふいに真顔になってオレを見た。
「いや、笑ってる場合じゃないな。……一歩間違えるとストーカーだ」
「あ、そう。正にそんな感じ」