13年目のやさしい願い
「……パパ、同じクラスだったわよ」
自分で話しているはずなのに、まるで自分のものではないかのような遠い声。
遠い遠いところで、別の誰かが話しているように聞こえる、わたしの声。
「ん?」
わたしの声を聞くと、パパは急に優しい目になって、わたしを見る。
わたしを心から大切に思って、愛してくれているパパ。
優しいパパ。
「カナと……同じクラス、だったよ」
そう言うと、パパはニッコリと優しく笑った。
「なんだ。焦ったじゃないか」
そのまま、また歩き出して、わたしのイスを引いて座らせてくれた。
嫌な予感がして、
胃の辺りがムカムカする。
聞いてはいけないって思うのに、
だけど、聞かずにはいられなかった。