13年目のやさしい願い
トントン。
ふいに、病室のドアがノックされた。
「どうぞ」
朝食かなと思って、ハルの代わりに返事をした。
けど、すぐに開けられるはずのドアは音沙汰なし。
「あれ? 空耳? ノックの音、聞こえたよな?」
「うん。……隣の部屋のだったかな?」
そんなわけないだろ、と思いつつ、不思議そうに首を傾げるハルが可愛かったから、誰も来ないならちょうどいいやとばかりに、ハルに軽くキスをした。
もう、と言いながらも、ハルは嬉しそうにオレに身を寄せてくれた。
いい年して、同じミスをしたら、もう二度とゆるしてもらえないだろう。
その少し後に届いた朝食を、ハルが食べるのを見届けると、オレは朝からハルを堪能し、満たされた気持ちで学校へと向かった。