13年目のやさしい願い
17.本当の言葉
「じゃあ、ハル、また夕方来るね」
思いもかけず、目が覚めたらカナがいた。
朝一番からカナがいて、カナの声が聞けて、カナに触れられて……。
それが、こんなに幸せだなんて、思ってもみなかった。
「うん。待ってるね」
心の底からの笑顔でそう言うと、カナはわたしをギュッと抱きしめ、耳元で、
「次に会う時は、今よりもっと元気になってるかな」
とささやき、頬にキスをした。
「気をつけてね」
「ハルもね」
その言葉に、病院でいったい何に気をつけるのかしら、と思っていると、カナは笑顔で手を振り、ドアの向こうにいなくなった。
その時は、まさか本当に最後の嵐がやってくるなんて思ってもみなかった。