13年目のやさしい願い


きっとパパは、わたしがそれを望んだのだと、望んでいたのだと、疑ってもいない。

だから、努めて笑顔で聞いてみた。



「ねえ、パパ?」

「ん? なんだい?」

「カナが頼んだのよね?」

「ああ」



パパは、わたしの動揺にはみじんも気づかずに、ニコリと笑った。



「優しい彼氏だな、陽菜」



……その後の食事は、もう一口も喉を通らなかった。


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