13年目のやさしい願い

……目が覚めたら、まだ夜中だった。



さっきまで手に持っていた本を探して、薄明かりの中、自分の両手をぼんやりと見た。



夢の中と比べて、わたしの手のひらはずいぶんと大きかった。



最初は理解できなかった、あの本。

3回目を読む頃には、意味も取れるようになっていた。

とても、おもしろかった。

今でも、わたしの本棚に並んでいる。



わたしは、壁際の本棚に目を移した。

そこには、瑞希ちゃんからもらった本が、他にも何冊も並んでいた。



あの頃からずっと、本が好きだった。



ぼんやりと本棚を見ながら、



子どもの頃の夢を見るなんて、何年ぶりだろう?



って思った。

日々の生活で手一杯で、子どもの頃のことを思い出すことなんて、もう何年もなかったのに……。

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