13年目のやさしい願い
退院した日には、カナに一ヶ谷くんから聞いた話を伝えた。
夜には、お兄ちゃんにも電話をした。
2人ともが、揃って、「信用できない」って言ったけど、
それでも、「だけどね、」と続けたわたしの言葉を2人とも、最後にはやっぱり受け入れてくれて、いわゆる報復はしないって約束をしてくれた。
「でも、本当は少しくらい懲らしめてあげるのも、本人のためだよ」
と、お兄ちゃんは諭すように言った。
好き放題やって、無罪放免というのが本人のためにならないというのも、きっと本当。
もしかしたら、お兄ちゃんは何かはするのかも知れない。
これ以上は止められない。
わたしが「ほんの少しだけよ?」と言うと、お兄ちゃんは笑った。