13年目のやさしい願い
木漏れ日の中を歩いていると、バサバサッと音がして、二羽の鳩が飛び立つのが見えた。
ハルが立ち止まり、空を見上げた。
オレもつられて、上を向く。
緑の木々の向こうに、青く、どこまでも青く澄んだ空。
「ハル、少し休んでいこうか?」
時間は十分にある。
むしろ、十分過ぎるくらいで、このまま中に入ってしまって、無機質なロビーのベンチで時間をつぶすなんて、もったいない。
ところどころに配置された木陰のベンチに並んで座る。
ハルが、オレの肩にそっと頭をもたせかけた。
今までにないハル。
最近、ハルはとても自然に、オレに寄り添ってくれる。
それが嬉しくて、嬉しくて、オレはまた顔がにやけてしまう。