13年目のやさしい願い
「ねえ、カナ」
「ん? どうした?」
ハルがふっと真顔になって、オレを見た。
けど、ハルは何も言わずに、そっと目をそらした。
「ハル?」
「ううん。……何でもない」
「何でもないってこと、ないだろ?」
ハルは相変わらず口が重い。
思ったことの、多分、半分だって口にしていない。
「言えよ。……言わないと、」
「え? 言わないと?」
思わせぶりなオレの言葉に、いったい何が飛び出すのかとハルが待つ。
「キスするぞ!」
「ヤダ、カナったら」
オレの言葉を冗談だと思ったのか、ハルはクスクスと笑った。
「本気だよ?」
とハルの頬に手をやると、ハルは慌てて、オレの口を両手で押さえた。