13年目のやさしい願い
「こんな場所で、ダメッ」
ハルの顔は真っ赤で、最近、前より積極的になったと思っていたのに、やっぱり、ダメなんだと思わず笑う。
「で? 何を言おうとしたの?」
「な、何でも……」
「なくないでしょ? ちゃんと話して」
「ほ、ホントに、大したことじゃ……」
「いいから」
オレが、またキスするぞって冗談めかして言うと、ハルはクスクス笑った。
それから、また真顔になって、オレの手を取った。
「ねえ、カナ」
「うん」
「ワガママ言ってもいい?」
「もちろん!!」
思えば、ハルがオレにワガママを言うなんてこと、
幼なじみ時代にも、恋人同士になってからも、今までに一度だってなかった。