13年目のやさしい願い
「えーと。で、土日の何時を空けておけばいい?」
「陽菜との約束は?」
他の予定は気にしないけど、ハルとの予定だけは考慮する、その一本筋の通った姿勢には恐れ入る。
ってか、ある意味、オレのお手本。
「土曜の朝、通院に付き合う約束してる」
「じゃあ、金曜日の昼と土曜の夕方以降と日曜日、空けといて」
「え? 金曜日の昼!?」
それって平日だと思うんだけど。
「たまたま空いた。お前は昼休みだけ付き合え」
昼休みはハルと弁当食べるんだけど、明兄、知ってて言ってるよな?
じゃ、きっと拒否権はなしだ。
「了解〜」
「場所は追って連絡する」
「分かった。……けど、本当に金土日、3日もいるの?」
「相手がある話だからな。金曜日は確定。土日はどっかで2〜3時間。余った時間はリリースしてやるから安心しろ」
「てか、一体何やんの?」
と至極もっともな質問をしたら、いかにも不機嫌な声が帰って来た。
「……お前、それ本気で言ってる?」
「え!? えーっと……」
待て待て待て待て。
オレが知ってる用事で、明兄に関係するもの?
いや、明兄がわざわざ数時間かけてまで帰省して何かするってのは、間違いなくハル関係だ。
となると……。
二週間前にハルが保健室から救急搬送されて、そのまま入院する羽目になった、あの事件しかないだろう。