13年目のやさしい願い
空は抜けるように青くて、空気は澄んでいた。
ジュウジュウ焼けるお肉の香ばしい匂い。
楽しげな笑い声。
みんなの笑顔。
絵に描いたような、幸せな空気に満ちあふれた誕生日。
わたしは、16歳になった。
生まれつき、大きな欠陥があったわたしの心臓は、
生まれた時、1歳までもたないと言われたという。
1歳を過ぎると、もって3歳まで。
それを過ぎたら、頑張れば、10歳まで行けるかもしれないと言われ、
その後は、命の期限を区切られないまま、
今日、16歳になった。
何度も死にかけ、何度も胸を開いての手術をした。
最近、以前よりも、身体が動かなくなっている気がする。
身体が重くて、少し動いただけでも息が切れる。
体調を崩した後、回復するまでに時間がかかるようになった気がする。
……わたしの命の期限まで、後、どれだけの時間があるのだろう?
楽しいはずの誕生日なのに。
ふと、そんな言葉が頭をよぎる。
ここにいる誰よりも早くに……、
たぶん、一番早くに、わたしはこの世を去ることになる。
その時、みんなが、あまり悲しまずにすめばいいのにな……。
きっと、そんなことはムリだと、心の底で思いながらも、
カナが、あまり悲しまずにすむといいな……、
そう願わずにはいられなかった。
わたしがいなくなった後、カナはどうやって生きていくのだろう?
笑顔の裏で、そんなことが頭をよぎった。