13年目のやさしい願い
じゃあ、いったい誰が……と思っていると、明兄はサラリと言った。
「オレが自分で頼んで、自分で払った」
「……って、そんな安くないよね?」
「100万はいかなかったな」
「げ」
明兄はサラリと言うけど、オレは軽くは受け止められない。
だって、100万って大金だろ!?
どこにそんな金が……。
おじさんは気前はいいけど、学生にそんな大金を持たせるようなタイプではない。
そして、明兄は虎の子を切り崩してという雰囲気でもない。
オレの疑問は明兄に筒抜けだったようで、聞く前に教えてくれた。
「金のなる木を育ててる」
「はあ!?」
金のなる木を育ててるって、弱みを握って誰かを脅してたりとか……。
待て待て待て待て、それは犯罪だよ、明兄!!
「……お前、今、何考えた?」
「え?」
ゆすりとか。
今回だって、どこからともなく校長室を調達してるし。
「バカ」
明兄はオレの考えを読んだらしく、呆れた声と視線をよこした。
「犯罪に手を染めるかよ」
「……だよねぇ」
ホッとして息を吐くと、明兄も小さくため息を吐いた。
「投資だよ、投資」
「とうし?」
「株とか不動産とか先物とか、色々あるだろ。あれだ」
「ああ、投資ね。……でも、元手は?」
「貯金で小さく初めて、行けそうだと踏んだから、じいさんとこ行ってプレゼンした」