13年目のやさしい願い
「どうしたの!? どっか痛い!?」
冷や汗が出る。
気持ち悪い。
靄がかかったような視界。
「……ち…が。……ひん…けつ」
囁くような声に一ヶ谷くんが戸惑っているのが分かる。
苦しい。
保健室に行きたい。
横になって、少し休めば楽になるから……。
ごめんね。
迷惑かけて。
早く、手をふりほどかなくちゃ、いけなかったのに。
そうして、自分のペースで歩かなきゃ、いけなかったのに。
言えずに、こんなことになってしまった。
わたしの肩に、おずおずと触れる一ヶ谷くんの手。
……カナとはまったく違う手。
困ったような、どうしたら良いのか戸惑っているような気配を感じて、
申し訳ない気持ちでいっぱいになる。
カナの手は、いつもわたしを安心させてくれる。
大丈夫だよって、全身で教えてくれる。
どれだけ守られていたか、今さらながらに思い知らされた。