13年目のやさしい願い
待っていてもハルが何も言ってくれないのなら、オレは想像するか聞くしかない。
「……おはよう」
困ったように小首を傾げ、ハルは小さな声で返事をした。
オレはハルの鞄を受け取り、ハルは革靴を脱いで上履きに履き替える。
「ねえ、ハル」
「……なあに?」
「何を怒ってるの?」
怒ってる。
そう。
たぶん、オレはハルを怒らせたんだ。
だけど、ハルはオレを責めない。
そうして、オレと距離を置こうとする。
ねえ、ハル。
オレを嫌いになったんじゃなかったら、
怒っていいから、
力いっぱいなじっていいから、
側にいさせて。
オレを突き放さないで。