13年目のやさしい願い


おじさんは、ハルに滅法甘い。

溺愛していると言ってもいいと思う。

ただ、ハルは自分から何かをねだったりするようなことはなくて、だから、普段は普通の親子なんだけど……。

もしかしたら、おじさん、ハルが欲しがったら、家一軒だって買い与えるんじゃないだろうか?

ってくらいで。



「えっと、……ね、ハル」



言い訳しようとしたオレに、ハルが泣きそうな顔で言った。



「パパ、カナだけじゃなくて……」



ん?



「わたしと仲の良い友だちを調べて、同じクラスにしろって……言ったんだって」



おじさん!!



「それからね、わたしが歩くのが苦手だから、階段の側のクラスにしろって……」



ちょっと、待った!!

ハルがスッと目を伏せ、そして、



「……2年のクラスを一階にするようにも」



囁くように、ハルが言った。



おいおいおいおい!!

そりゃ、いくら何でもやり過ぎだろ!?



いや。

2年のクラスは例年通り二階だったけど……、

言ったんだよな!? それ、言ったんだよな!?


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