13年目のやさしい願い
「ハル! オレ、そんなこと、頼んでないから!!」
「……うん。分かってるよ」
ハルが力なく、答える。
ハルは相当、ショックだったらしい。
オレが親父に頼んでいたことすら嫌がって、わざわざ親父にまで直訴したのに。
結果、オレと同じクラスにしろってことだけじゃなく、ハルの交友関係やどのクラスにするかまで口を出される羽目になって……。
しかも、それをしたのが自分の父親で、
その発端がオレときた日には……。
ハルの目は潤んでいた。
だけど、ハルは泣かなかった。
そうして何も言わずに、そのまま歩き出した。
オレに怒るのではなく、ハルはたぶん自分を責めている。
オレはかける言葉を思いつけず、ハルの横を静かに歩くことしかできなかった。
事件はそれだけで終わらなかった。