13年目のやさしい願い
5.横恋慕
「陽菜ちゃん、おはよう!」
入学式の日に出会った一ヶ谷くんは、あれから毎日、わたしのクラスに顔を見せる。
もう、三日目。
2年のクラスなのに、気にならないのかな?
当然のように、クラスメイトの視線は集中しているし、学校内は一ヶ谷くんの噂で持ちきりみたいなのに。
「陽菜ちゃん、元気?」
「元気じゃなきゃ、学校来ないよ」
元気じゃなきゃ、学校に来ない。
うん。確かにそう。
だけど、カナ、そんな身も蓋もない言い方しなくても……。
「陽菜ちゃん、部活なに?」
「残念だな、ハルは帰宅部だ」
わたしが答える前に、カナが口を挟む。
「陽菜ちゃん、家どこ?」
「オレの家の隣だ」
言外に、カナが「来るなよ」と牽制する。