13年目のやさしい願い
「ふふん。分かったか? もう、おまえ、来るな。馬に蹴られて死んじまうぞ」
「くっそー。諦められっかよ、こんな野郎相手に!」
本人を目の前に……っていうか、本人に向けて暴言を吐く一ヶ谷くん。
だけど、カナはわたしがはっきりと断ったからか、いたってご機嫌で、一ヶ谷くんの言葉には何も言い返さなかった。
そうして、ふふんって鼻で笑うと、わたしの肩を抱いて教室へ入った。
背中越しに、
「オレ、諦めないからね!」
って、一ヶ谷くんの声が聞こえてきて、クラスメイトのクスクス笑いと、
「がんばれ、一年坊主!」
「叶太、有段者だぜ。殺されんなよ~」
「叶太、敵は手強いぞっ」
ってような、野次があちこちで飛び交った。