13年目のやさしい願い
6.交差点
「んー!! いい汗かいた~!!」
自転車に荷物を積み終わり、両手を空に突き上げて伸びをしていると、
「叶太、何か食ってかない?」
と、空手仲間の谷村淳(たにむらじゅん)が声をかけてきた。
こいつとは、小学生の頃から一緒だ。
道場に通い出したのは、確かオレが1年からで、こいつが2年から。
土曜日。
今日はハルは通院日で、オレは空手の日。
早朝から顔を出して、基礎練習、型や組み手。
ほどよい汗をかいた後、後半は小学生の練習相手。
それも終わって、今は昼前。
「悪い。オレ、寄るとこあるから」
ハルがまだ病院にいるだろうから、迎えに行くんだ。
「病院?」
つきあいが長いそいつは、オレの彼女が病弱で、しょっちゅう入院してるのを知っている。