13年目のやさしい願い
間に合う。
そう踏んで、その子の腕を引いた。
危ないと叫ぶ間もなく、力いっぱい引いた。
そのままの軌跡だったら、
車は、オレの方には来ないはずだった。
……なのに、
なんで、こっちにハンドル切るんだよっ!!
「クソッ!」
オレは、女の子を引く力を強くした。
反対の腕で、その子の背を力いっぱい、突き飛ばした。
どこかで、甲高い悲鳴が聞こえた。
キキキィィッ!!
今更ながら、急ブレーキをかける音が鳴り響いた。
目の前に車の青いボディが見えた。