13年目のやさしい願い
そんなことを考えながら、絵本と折り紙の入った手提げ袋を持つと、
「小児病棟も、子どもたちは喜ぶだろうけど控えめにね」
と、先生が言った。
小児科の病室で、子どもたちに絵本を読む。一緒に折り紙を折る。工作をしたり手芸を教えたりする。
なんてことはない。
ただ一緒に遊ぶんだ。
もう何年も前からの、わたしの楽しみ。
でも、
それもダメなんだ。
「……はい」
わたしの表情が硬くなったのを感じてか、先生はふうっと息を吐いて、仕方ないなと苦笑いした。
「薬は後で届けるようにするから、薬局寄らずに行っておいで。
その分だけ、ゆっくりできるだろ?」
と、子どもの頃と同じに、わたしの頭をくしゃっとなでて、にこっと笑ってくれた。
それから、付け足すように言った。
「来週、また診せにおいで。その前に具合が悪くなるようだったら、すぐに来ること。いいね?」