13年目のやさしい願い
いつも何となくザワザワした空気の漂う病室に、わたしの本を読む声だけが響く。
でも、それはほんの一瞬の静寂で、
子どもたちは物語に夢中なだけで、
お話が大きく動くと、吹き出すし、笑うし、手を叩いて喜んでくれる。
「うそーーっ」
「何で、そんなこと、するんだよ!」
「さーて、何ででしょう?」
わたしはニッコリ笑って、じらすように、ゆっくりとページをめくる。
待ちきれないよ、とキラキラ輝く子どもたちの瞳。
ほっこり心が暖まる。
世の中には、悲しい絵本も考えさせられる絵本も、たくさんある。
そんなお話もわたしは、好きだった。
自分では、そんな絵本も読んだし、悲しい物語も好きだ。
思う存分涙を流すと、心が不思議とスッキリとするんだ。