13年目のやさしい願い
え? 急用って?
何が起こっているのか分からず、呆然としている間に、ママに軽く背中を押されて病室の外に連れ出された。
いつもは、終わりにしようとしても、
「もっと遊んで」
「帰っちゃやだ」
って、わたしにしがみついて、なかなか帰らせてくれない子どもたちだけど、
白衣を着たママ……お医者さまの言葉には逆らわなかった。
絵本を二冊読んだだけで、他には何もできなかったけど、子どもたちは、
「陽菜ちゃん、バイバイ!」
「陽菜ちゃん、また来てね!」
と、手を振ってくれた。
子どもたちの声に、かろうじて振り返り小さく手を振った。