緋龍と偽姫


時折子どもみたいな…麗が可愛くて仕方ない。


そんな事言ったら…怒られるかな。


クスクスと笑ってる私の体を…。


シトラスの香りが包んだ。



「緋那…なに笑ってんだよ」



クスクス。


「おかえり、麗」


「ん。緋那…。わりぃ。弁当…ぐちゃぐちゃになっちまった…」


「大丈夫だよ。お昼作るから一緒に食べよ」


私がそう言うと麗は嬉しそうに笑った。


「なぁ、緋那」


「ん?」


「キスしていいか?」



「どうしたの?」



「ん?」




「いつも…そんな事聞かないのに…」




「すげぇ…言いたくなった」




クスクス。




「どうぞ」





優しいキスが角度を変えて降り注いだ。



< 17 / 53 >

この作品をシェア

pagetop