緋龍と偽姫



その日の夜中。






緋那ちゃんは居なくなった。





1枚の書き置きを残して。






―麗へ。


私と緋絽を助けてくれてありがとう。


私たちに家族を作ってくれてありがとう。


幸せでした。―






それだけが…書かれた書き置き…。




麗は…キレた。





独りにしないと約束した。



傷付けないと約束した。






それなのに…。






大切なモノは…手から零れ落ちた。






「塁、輝、岳…。


取り戻すぞ。


俺たちの家族を…」






当たり前だよ。




緋那ちゃんが居ないと、麗は麗じゃなくなるからね。





「行くぞ」






麗の一言で俺たちは当たり前のよう動いた。





待っててね。





緋那ちゃん。緋絽。












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